見ると河から城へと続く道端に延々と五色のきれいな花が咲いていた。水汲みさんは言った。
「右の瓶くん、花は道のどちら側に咲いているかわかるかい?」
花は上ってくるときの右側に咲いていた。
「花の種を撒いておいたんだ。君が毎日水をやってくれたから、きれいな花を咲かせることができたんだよ。君だってちゃんと役に立つんだ。」
ちょうどそこに王様が現れた。
「おおお!これは見事な眺めだ。きれいな花の道ができたな!」
水汲みさんは言った。
「この道はこのひび割れた瓶があったおかげで花を咲かすことができました。」
王様は言った。
「物を大切に扱い、それを活かすとは!すばらしい行いであった!」
水汲みさんは王様に大変褒められた。お城の人たちも大勢出てきて、みんながその景色に見とれた。みんな笑顔で花の道を見ていた。
水汲みさんは右の瓶に言った。
「これは君にしかできない仕事なんだ。それがどれだけ人を喜ばせているか、これでわかっただろう?」
右の瓶は不思議な気持ちになった。自分は役立たずだと思い込んでいたが、こんなに人を喜ばせて、役に立っていたなんて。一方、左の瓶はそれを見てこう言った。
「ボクは、自分はできる! 何も問題ない! と思っていた……。完全だと思っていたけど、ボクにはこうして花を咲かせることはできない。右の瓶くんにひどいことを言った自分が恥ずかしいよ。」
そう言って謝った。水汲みさんは左の瓶に言った。
「そうだね。誰だって完全なんてないんだよ。それでもできることを探すことが大切なんだ。」
そして、右の瓶にも言った。
「自分はだめだ、値打ちがない、そうやって自分を責めるより、小さなことでもできることを探して動き出すんだ。きっと自分にしか出来ない何かがあるんだよ。」
そしてこう続けた。
「ボクの仕事もそうだよ。大変な仕事だけど、水を運ぶ人がいなかったらお城のみんなが困るだろ。これは誰かの役に立つ仕事なんだ。だから、ボクはこの仕事を一生懸命にしているんだよ。」
それからもその花の道はみんなの憩いの場となって多くの人々を楽しませたとさ。
おしまい。
左の瓶は私そのもの
わかりやすくお伝えするために多少私なりの脚色を加えておりますが、牧師さんのおっしゃりたいことはちゃんと捉えていると思います。この話は私には衝撃的でした。まさに私は左の瓶そのものでした。
常に自分が正しいと思うタイプで、すぐに調子に乗って、増長し、慢心する。そして、できない人、ついて来れない人を切り捨てる。今でもそんなところがあるなと自覚しています。気をつけてはいるのですがまだまだです。
しかし、このお話を聞いたのは10数年前。その当時から考えると社員数は2倍になりましたから、このお話の教訓が少しは活かされているのかなと思います。
みなさんはどうお感じになりましたか? 人財育成の要諦、エッセンスがいっぱい詰まったお話でした。この水汲み職人のようになりたいと心底思いました。どうしたらこのように考えられるのか。人を活かす、ものを活かす、使命感を持って仕事をする。
ソウイウモノニワタシハナリタイ。
多謝
こんにちは、Y’s hair GROUP(ワイズヘアグループ)を運営するZIMA ENTERPRISE 代表取締役 CE…
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