【傷病手当】もしもあなたが新型コロナウィルスに感染したら?

教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。

前回は、休業期間中の「雇用調整助成金」について、その休業手当についてお話しました。

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教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。 前回に引き続き、「雇用調整助成金」新型コロナウイルスの特例についてお話しし…

実際に事業主から「雇用調整助成金」の依頼を受けた社会保険労務士の方々も、フル稼働で申請業務に取り組まれています。

厚生労働省としては「4月中に審査をおこなう職員を800人増員します。これまでは申請から支給まで2ヶ月かかるとされてきましたが、1ヶ月で支給できる体制を作りたい。」とし、申請書類の簡略化などもおこない、スピーディーに対応する体制を整え始めました。

ただ実際、雇用調整助成金が支払われるのは休業が終わり、支給申請をしてからですので、あとはここから実際にどれぐらいの期間で支払われるのか、またリポートしていきたいと思います。

さて、今回は助成金とは、また違った角度からのお話をしていきます。

あなたが自身がコロナウイルスの感染者になったら……

最近では、美容師さんがこの新型コロナウイルスに感染したというニュースも。もしも実際に自分自身が感染してしまった時を考えてみましょう。入院・その他施設や自宅待機などで隔離状態で治療し、症状が治まって、検査が「陰性」となるまでそれは続きます。

そうなると、この期間は全く仕事ができません。欠勤となれば、給与も減額。長引けば、給与ゼロの状況にもなるでしょう。また、自分自身が感染していなくても、家族や身近な人が感染者になり、濃厚接触者となれば同じように勤務ができなくなります。

そんな状況のとき、生活を支えるための所得保障制度として「傷病手当」というものがあります。

今回はその「傷病手当」についてお話しします。

「傷病手当」とは

「傷病手当」とは、健康保険などに加入(被保険者)していれば、病気やケガの療養で仕事を休んでしまい、欠勤などで十分に給与を受け取れない場合などに受けとることができるものです。

支給の対象

① 業務災害以外の病気やケガの療養のために働くことができないこと
※ 業務中や通勤の際のケガは労災保険の対象になりますので注意

② 4日以上仕事を休んでいること
※「待機3日間」が必要。療養のために連続して3日間仕事を休んだあと(待期期間)、4日目以降の仕事を休んだ日が支給対象となります。この「待機3日間」は有給休暇・土日祝でもOK。

支給期間

支給期間は、支給を始めた日から最長で1年6か月まで。

 「傷病手当」はいくらもらえる?

1日あたりの支給額

「直近12月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1」の3分の2。

これが1日当たりの支給金額ですので、これに対象の日数が掛け算になります。

※ 標準報酬月額とは、現状皆さんが毎月支払っている(給与天引)健康保険や厚生年金などの社会保険料の基準となるものです。基本給だけなく、役職手当・通勤交通費など含めた給与から算出しますので、それぞれ異なってきます。

 

では「傷病手当」はいくらぐらい支給されるのでしょうか。

例)標準報酬月額が22万円の場合

220,000÷30×3分の2=¥4,887/1日あたり

例)標準報酬月額が24万円の場合

240,000÷30×3分の2=¥5,333/1日あたり

これに「傷病手当」対象となる休んだ日数分が実際に支給される金額になります。

※ 休んでいる期間に給与が支払われた場合は、差額分支払いなったりしますのであくまでもイメージです。

新型コロナウイルスに感染して、入院しないともらえない?

今回のコロナウイルスでいうと、どのような場合が「傷病手当」の支払い対象になるのでしょう。

4月20日に厚生労働省から出された資料を簡単にまとめると、、、

 

【支給されるケース】※前提:仕事がでず、4日以上仕事を休んでいる状態

■「新型コロナウイルス陽性」で発熱などの自覚症状があり、療養のために仕事を休んでいる→OK

■ 自覚症状はないが、検査の結果「新型コロナウイルス陽性」と判定を受け自宅待機→OK

■ 発熱が自宅療養、すぐに病院はいけなかったが、休んで4日以降に受診し「新型コロナウイルス陽性」

→医師の診察を受け、受診前から仕事ができない状況と医師が判断すればOK

 

【支給対象にならないケース】

■ 本人は自覚症状なく、一緒に働いていたスタッフが感染したため、勤務先が休業し仕事ができなかった

→本人が感染し、仕事ができなかったわけではないので対象外(この場合は休業手当・雇用調整助成金の対象)

■ 本人は自覚症状なし、家族が発症し濃厚接触者となり、仕事ができなかった→これも本人が感染して仕事ができなかったわけでないので対象外

 

というように、「傷病手当」の対象となるのは、あくまでも本人が病気やケガで労働ができない状態。

新型コロナウイルスでいうと、「本人が感染し、治療のために休まざるをえず仕事ができなかった」ケースが対象となってきます。

「感染しない対策」と「感染してしまった場合の対策」

日々感染者が増え、緊急事態宣言が出され、「自分は感染しないだろう」から「いつ感染してもおかしくない」に意識が変化してきていると思います。

一方で勤務先の美容室も休業し、不安な気持ちを抱えて過ごしている美容師さんも多いかと思います。

「傷病手当」は皆さんが加入している「健康保険」による皆さんと、その家族の生活を保障するための制度です。

他にも皆さんが個々に加入している「医療保険」でもカバーできるものがあるかもしれません。また、自治体によって独自のサポートがある場合もあります。

「感染しない対策」は注意して取り組んでいると思いますが、もしもご自身や家族が「感染してしまった場合の対策」もあらかじめ確認してみてはいかがでしょうか。

【参考】

※ 厚生労働省【生活を支えるための支援のご案内】

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