美容師がメイクを勉強したほうがいい理由

こんにちは、メイクアップアーティストでPRATER メディアマネージャーの黒木絵里です。

美容師さんは、髪を切るだけでなく、メイクもされる方もいらっしゃいますし、ヘアメイクとして活動されている方も。私がメイクアップアーティストとして仕事をしている際に、クライアントからよく言われることが1つあります。

「美容師さんは、もっとメイクを勉強したほうがいい」

一体なぜでしょう。今回は、その理由についてお話ししようと思います。

美容師は髪の勉強がメイン

美容師さんは、美容専門学校を経て美容師になりますよね。

ただ、美容専門学校で履修するメイクの時間は、ほんの数時間ということがほとんど。もちろん、美容師になるために通う学校ですから、そのようなカリキュラムが組まれているのは当然です。

そのため、卒業してサロンに入社し、お客様のご要望でメイクを施術する際や、サロンでの撮影、コンテストで先輩にモデルのメイクを頼まれた場合に、完成度が高くないものになってしまうことが多々あります。

一体なぜだと思いますか? それは、美容師の皆さんは、毛髪理論をはじめ、髪を切ることを主に勉強されてきたから仕方がないのです。

美容専門学校を卒業しただけで、メイクを生業にできる人は、ほぼいないと言い切ることができます。

技術を得るための努力

既にスタイリストとして活躍されている方は、この一言でおわかりになるかと思いますが、お客様に対価を支払っていただけるまでになるには、相当量の努力が必要です。

器用な人は、それが短期間で済むかもしれません。しかし、多くの人は長い時間を、より高い技術を習得するために費やすでしょう。それは、メイクに関しても同じことがいえるのです。メイクは、感覚でするものではありません。そこにはセンスも必要ですが、圧倒的に理論を理解する必要があり、それを理解した上で、いかに再現することができるか。

ですから、本来、メイクで活躍するには、髪について学んだことと同レベルの時間、あるいはそれ以上の勉強・練習時間が必要だと認識していただいたほうがよいでしょう。

二兎を追う者は一兎をも得ず

極論を言います。ヘアの技術もメイクの技術も最高峰という人は、本当に一握りです。

大抵、ヘアのスキルに偏るか、メイクのスキルに偏るか。そのため、広告やタレント・アイドルの撮影に行くとクライアントからよく聞くのが、

「○○さん、ヘアは上手いんだけどメイクがちょっとね……」

これってヘアメイクをやられている方なら、めちゃくちゃ悔しい言葉だと思います。でも、それと同時に、自分の技術に偏りがあることが他人に認識されているということなので、そこはリアルを受け止めたほうがよいでしょう。

とどのつまり、両方の技術が極まっていることは業界でもまれであり、どちらかは完成度が高いけど、どちらかは完成度が十分ではないことがほとんどということです。

だからこそメイクの勉強を

美容師さんで、メイクをしてお金をもらいたいと思う方は、圧倒的な勉強と練習を重ねてください。

私は、今まで多くのサロン様でメイクのコンサルをさせていただいてきましたが、最初は「フルメイクで5,000円」をいただくに値しないスキルの方がほとんどです。

成人式や卒業式など、セレモニー系のメイクをヘアセットと一緒にオーダーされるお客様もいらっしゃいます。ヘアは良かったけど、メイクは自分でやったほうがよかった……とお客様にメイクを直されている現実もあるということ。

あとは、「なんとなくメイクができる」のと「メイクができる」では大きな違いがあります。メイクは確かに、綺麗にファンデーションが塗れて、ポイントメイクもそこそこに仕上がっていれば、それなりに見えてしまいます。

実は、それが大きな勘違い。

それは、「メイクができる」のではなく「なんとなくメイクができる」なのです。特に女性の場合は、自分の顔にメイクをすることに慣れていますから、相手にすることもさほど難しいと感じない場合があります。そこで起こりうるのが「自分の顔にしているメイクをお客様・モデルにしている」こと。

それはなぜか。

骨格、肌質、スキンケアの配分、下地の量、塗る範囲、ファンデーションのチョイス、パウダーの有無、挙げ始めるときりがありませんが、こういった細かいところまで考えることができていないことがほとんどだからです。

ヘアメイクではなく、メイクアップアーティストとして活動している人間は、ヘアとの似合わせはもちろんのこと、骨格、肌質はもちろん、メイクをする環境の湿度はどうか、ロケかスタジオ撮影かでもメイク持ちや時間とともにどれくらい変化するかを計算してメイクをしています。

また、1番クオリティを発揮する時間、例えばテレビ収録、ミュージックビデオ撮影では、1番お顔が綺麗に写る(映る)ときはいつなのかを逆算してメイクをします。

髪の生え際がここで、ヘアスタイルをこう仕上げるから、眉を描く位置を1ミリさげることでより映える、表情筋の動き方に癖があるから、ハイライトを入れる位置に気をつけるなど、本当に計算し尽くします。

そのため、メイクできちんとお金をいただくためには、「なんとなくメイクができる」のではなく「メイクができる」技術者になっていただきたいと思います。

実技練習はもちろんのこと、今一度、理論から勉強されてみるのもよいかと思います。

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