【美容師の仕事】最も大切な価値観に気づいていますか?

こんにちは、Y’s hair GROUP(ワイズヘアグループ)を運営するZIMA ENTERPRISE 代表取締役 CEOの和田島靖史です。

今回は、美容師としての仕事、最も大切な価値観について、経営者の観点からお話しします。

来るべき未来は

世間では、アフターコロナ、ポストコロナ、いや、ウィズコロナだとか、様々に今後の世界が語られています。超インフレだ、リーマンショック以上、戦後最大のインパクトだと大抵は明るい未来ではなく、悲観的なものが多いなと感じています。

しかし、目の前の目まぐるしい変化にとらわれず、大局的かつシンプルに物事を見て考えていくと、これから我々が大切にしなければならないこと、来るべき近い将来へ向かっての心構えが見えてくるのではないかと思っています。

以前の記事、これからの美容業界、生き残るのは小型店か大型店か!?の中でも書きましたが、これからは人が集まる、または集めるということに対して、それ相応の意味と価値を求められるようになると述べました。

国も動き出しました。2020年5月4日の厚生労働省が発表した内容によりますと、「新しい生活様式」の実践例は、「一人ひとりの基本的感染対策」「日常生活を営む上での基本的生活様式」「日常生活の各場面別の生活様式」「働き方の新しいスタイル」の4つで構成すると述べられています。

国を挙げて国民に新しい価値観を植え付けようとしているのですから、このトレンドはしばらくの間は変わらないでしょう。どこかへ出かけることの意味と価値、それ相応の価値を感じることができなければ、わざわざ出かける意味がないということですね。

我々のサロンはどうでしょう。美容室の存在意義、我々の仕事の意味と価値は何なのでしょう? わざわざ顧客がリスクをおかしてでもサロンへ出向く価値があるのかと根本にかえって考えてみましょう。

何をいまさら? とおっしゃるかもしれませんね。でも、その価値観が今、大きく変化しようとしているならどうでしょう。生き残りをかけて、その変化にしっかりとついていかなくてはならないと思います。

新たな価値と価値との交換〜CIとコアコンピタンス経営〜

今こそ声に出して、はっきりと伝えられるほど明確に、自サロンへ通ってくださることへの意味と価値を高らかに謳(うた)うべき時だと私は思うのです。そして、その価値を求める顧客が、それを享受し満足できているのかどうかが非常に重要なファクターとなるはずです。

加えてそれは、各サロン独自の、固有の、他に類を見ないアイデンティティーに満ちていなければなりません。いわゆるCI(※1 コーポレート アイデンティティー)の構成要素ですね。日本語で言い換えると、自社らしさといえるでしょうか。

※ コーポレート-アイデンティティー – 企業のもつ特性を、内部的に再認識・再構築し、外部にその特性を明確に打ち出し、認識させること。

そこからさらに深堀りし、他に圧倒的な優位性を持った独自の考え方から生み出された手法、商品、人財、仕組みが存在しているならば、コアコンピタンス経営(※2)が成り立ちます。コアコンピタンスとは、ちょっと大げさな話になってきましたね。「そんなこと考えたこともないよ」「自由気ままにやってきたから」と、そんな声も聞こえてきそうです。

※2 コア・コンピタンスとは、企業の中核となる強みのこと。

これってあてのない旅の目的は? というのと似ています。一見、何の目的もないように見えますが、そこにはあてのないことをするという明確な目的があるはずです。それと同じように、どんな商いのモデルであっても、そこに意味と価値があり目的があるのですね。そしてそのそれぞれの価値に反応した顧客が集まり、その対価を支払っているわけです。大きい小さい・多い少ないという定量要因とは別の話として。

ウォンツとニーズは新しいフェーズへ

このコロナ騒動に一定の落ち着きを見たとき、とても大切なことを我々は気づかされているはずです。その1つはお客様の求めるウォンツとニーズが新しいフェーズに突入したということです。

顧客のウォンツは、もっとキレイになりたいという理想を求め追及する手に入れたいものです。女性の美意識の飽くなき高揚ですね。一方、ニーズは必要不可欠なものです。髪が伸びたから切る、白髪が目立ってきたので染める、といったようなものです。いわば、このニーズのおかげで、我々の業は緊急事態宣言下でも自粛要請業者に該当しなかったわけです。

ウォンツ・ニーズ、それは今までさんざんに語りつくされてきた言葉ではありますがここにきて、普通に営業していたら気づくことが出来なかったことがあります。それは、我々の仕事が作り出す<癒しの効果>についてです。人は誰も人に触れてもらって癒されたい、と潜在意識で感じている、ということです。

オキシトシンとは癒しホルモン

オキシトシンという脳内ホルモンが存在しているのはご存じですか? これは近年明らかになった研究です。動物は、信頼できる別の個体に触れられると、このホルモンを脳で分泌するそうです。癒され、落ち着き、眠くなったり、リラックスし、免疫力も高まるという効果が確認されています。

飼い猫が主人の膝の上で撫でられゴロゴロとのどを鳴らしている、まさにその時です。我々のしてきた仕事も、まさにそんな効果があったのです。シャンプーやカット中、なぜか眠くなる……という1つの答えですね。

国中がコロナ疲れです。ストレスも極限に達しているといえます。そんな中、リスクを顧みずご来店してくださったお客様がいらっしゃいます。そしてお帰りになるときのあの笑顔を、我々は目の当たりにしたはずです。

口々に「やっと来ることができた」「やっぱり来てよかった」「頑張ってください」そんな言葉が現場に飛び交っていることでしょう。そんな時こそ、我々にとっては至福の時ですね。あんなに喜んでくださるとは……。この仕事をやっていてよかったと心から思える瞬間。必要としてくれる人がいるということは、この上ない幸せなことだと思います。

15年ぶりにハサミを握りました

私は、現場をすでに引退しているのですが、先日、義父と義母の髪を切りに行きました。青空散髪です。髪を切りに行きたいが、こんなご時世だから、高齢者があまり出歩かない方がいいだろうと我慢していたら髪が伸びきってしまった、何とかしてほしいというのです。

では私が! と久しぶりにハサミを握りました。15年ぶりですが、腕はまだ落ちていないと思います(笑)

スッキリした! ありがとう! とパッと笑顔の花が咲きます。とても喜んでくれて、こちらまで幸せな気分になる。本当に久しぶりでしたので、私自身も髪を切るということの人に与える素晴らしい価値を改めて実感しました。やっぱりこの仕事は無くてはならない仕事だと。

美容師の仕事は素晴らしい仕事

コロナによる大打撃。弊社も例外ではありません。4月度の売り上げは、前年の7割減です。

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ずっと打ちひしがれていたのでは気づかない。目の前の困難・問題・障害に奔走するうちに心を奪われて、1番大切なことを忘れてはなりません。自信と勇気を取り戻し顔を上げて1歩を踏み出したとき、やっと気づくことがあるはずです。私たちの仕事って、やっぱりなくてはならない大切な価値ある仕事なんだと。必要とされ、望まれて、時に逆に励まされ、それでその上にお金をいただけるなんて。

そんな時こそ私たちは「このためになら本気で頑張れる」という、何か特別な理由が胸の奥から湧いてくるはずです。その思いに従い、それを仕事に活かしていくことができたら……。それこそが理念経営であり、それを成長させてゆくことがコアコンピタンス経営につながるのだと思います。

こんな時だからこそできる癒しメニュー、少しでも癒されてほしいから変えたBGM、もっと安心していただきたいからとった対策、模様替え、改装、出店、こんな思いで働いてほしいという人財教育……。大好きな人にするように仕事をする。そんな思いで運営しているサロンが、ちょっとやそっとで消えてなくなってしまうわけはありません。

お客様に喜んでいただくことで俸給を得る。美容師の仕事は素晴らしい仕事だ! と今こそその思いに立ち返るときなのではないでしょうか。

タイトル【新しい価値観に気づいていますか?】というよりも、もともとそれは存在していて、それをさらに高め活かしていくときが来たというべきでしょう。ウォンツ・ニーズ、単純にそんな言葉では名状しがたい美容師の仕事の価値観を、今一度一緒に感じてみましょう。

【参考】

コーポレートアイデンティティー – Weblio辞書
コアコンピタンス経営 – グロービス経営大学院
オキシトシン – 公益財団法人 テルモ生命科学振興財団

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