新卒生を迎える準備は始めていますか?助成金編③

教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。前回は、スタッフ育成に関わる助成金の基本となる「助成金の仕組み(内訳)」「助成金に対する考え方」についてお話ししました。
今回は実際にこの『人材開発支援助成金』を利用するうえで、「実施しようとしている研修が助成金の対象になっているか?」ということに着目していきたいと思います。
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教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。 前回は美容業界でスタッフ育成・教育に多く利用されてきている『人材開発支援助…

研修を労働時間内に行っているか?

前提として、従業員の教育訓練を通して『人材開発支援助成金』を利用する場合は、「研修を労働時間内に行う」ことが大前提です。

この助成金の意図は(あくまでも私なりの言い方です)、、、

「忙しい営業時間(労働時間)を使って、従業員の教育(研修)を行ったのは、素晴らしいことですね、それではその教育に使った時給分を国が助けますよ」というもので、

前回お伝えしたように、本来であれば生産性に直結した営業時間・労働時間を割いてまで、従業員のキャリアアップの訓練をしていることに対しての助成金なのです。

ですので、「労働時間外に居残りをして新しいスタイルの勉強会をしました」は助成金の対象になりません。

特に新入社員の研修は店舗に配属される前に、1日通して研修することが多いので、新入社員研修に助成金を利用する企業が多いのはそういう理由からです。

研修(訓練)の内容は?「自己啓発系はNG」

また、助成金対象となる研修(訓練)内容も決まりがあります。

①あくまでも美容師という仕事に関わる研修。
シャンプー・カラー・パーマ・カットなど技術系の研修はOK。問題ありません。
研修のやり方は知識(座学)・技術(実技)どちらでも構いませんので、毛髪理論や薬剤知識などの座学もOK。また、接客も美容師の仕事のひとつですので、接客研修も対象になります。
また、研修の目的や内容を参加者に伝えるようなオリエンテーションは認められていますが、時間数の上限が設けられていますのでご注意を。

②対象外になるのは?
例えば、モチベーションUP、自己啓発などの研修や、自社の人事制度や就業規則・店舗ルールを説明する時間などは、直接美容師の業務ではないと判断され、対象外になります。

研修(訓練)方法は?「オンライン研修はダメなの?」

研修方法としては、グループワーク中心の研修や自習などは、講師が関わらず参加者だけで行える研修と判断され対象外となります。講師がレクチャーをし、参加者も講師に質問出来るような環境での研修でなければなりません。

また、最近よくご質問を受けるのが、オンラインでの研修についてです。

新型コロナウィルスの影響で、「大人数が一つの空間に集まることは避けたい」「メーカーがスタジオを貸してくれない」「ZOOMでの講習はダメなのか?」といったご相談が多くあります。

私が昨年関わった事例でいうと、結果的にZOOMによる研修は認められました。ただ、「講師と参加者が相互にコミュニケーションを取れる環境でのオンライン研修」であることが前提。

というのも、もともと「eラーニングなど映像のみを視聴して行う訓練」は対象外です。ただコロナ渦の状況も加味され、「講師が参加者に意見を求めたり、参加者が講師に質問ができるような、相互にコミュニケーションを取れるような環境」でのオンライン研修であればOKとなりました。

昨年は、研修のサポートをしていた美容室のほとんどが、研修を計画していた期間の途中で新型コロナウィルスに巻き込まれる事態になりました。スタジオも借りられず、全員が同じ場所に集まるのも危険。そのなかで研修(訓練)を進めるために、労働局に相談してOKをもらったいきさつがあります。

対象外・対象内については、各労働局の解釈や考え方によりますので、一度実施したい内容でカリキュラムを作成してみて、社労士に相談しながら内容を固めていくのが良いかと思います。

今回のまとめ

あくまでも助成金の対象となるのは、美容師の「専門知識の習得」に対して、「営業時間内に行う研修(訓練)」がになります。そして、研修(訓練)方法についても、講師が参加者に対して、知識・技術をレクチャーし、参加者も講師に質問できるような、相互にコミュニケーションが取れる研修であることが必要です。

次回は助成金編としては最終回、「助成金を利用するための環境が自社で整っているか」ということについてお話ししていきます。

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