新卒生を迎える準備は始めていますか?助成金編②

教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。

前回は美容業界でスタッフ育成・教育に多く利用されてきている『人材開発支援助成金』について、「自社の研修ではどんな助成金が使えるのか?」という視点で、実際に例をもとにシミュレーションをしてみました。

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教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。 年末に入り、来年の新卒生の採用活動も大詰め。 もうすでに来年度の採用は締め…

シミュレーションをした例では2つの助成金が利用できる可能性が出てきました。

だからといって、すぐに「うちの研修でも助成金が使えるんだ!では助成金を申請してみよう!」ではありません。

そのまえに、この助成金を利用するうえで、基本的な「助成金の仕組み」と「助成金の考え方」についてお話していきます。

※助成金は都道府県の関係機関や社会保険労務士によって様々な解釈や考えがありますので、あくまでも私の経験でのお話です。

 

助成金の仕組み(支払われる助成金の内訳)

まずは、この先のお話をするうえで知っておいていただきたいことは、支払われる助成金の内訳です。特に『人材開発支援助成金』については、【経費助成】と【賃金助成】によって構成されていることを知っておいてください。

今回は例として、新卒生の研修を、4~6月の3か月間・1日7時間・週3回ペース(計:252時間)。うち5回は外部講師を招聘して行い、助成金Aを利用した場合で考えてみます。

1.【経費助成】研修のために使った経費への助成
対象例…外部講師の講師料・会議室料・テキスト代など

<助成金Aの場合>経費金額の45%が経費助成
例:外部講師を招聘し、1人当たりの講習費として100,000円かかった→45,000円/1人が賃金助成
(外部講師費用:100,000円/1回×5回=500,000円 参加者:5名 1人あたり100,000円)

※助成金によっては、全講習時間が〇〇~●●時間であれば上限△△円まで助成というパターンもあります

2.【賃金助成】研修時間に対して、スタッフ1人に対し、1時間当たりの賃金の助成
<助成金Aの場合>:1時間あたり760円の賃金助成
例:7時間/1日・週3日・3か月間 合計252時間の研修を行った→760円×252時間=191,520円

以上のようして算出された【経費助成】と【賃金助成】の合計が算定される支給金額になります。
例のような新卒研修を行い、助成金Aを利用した場合だと、、、、

【経費助成】45,000円+【賃金助成】191,520円=合計:236,520円/1人

これが1人当たりに算定される金額になります。
まずは、この助成金の支払われる金額の内訳を頭に入れておいて、この先のお話しをお聞きください。

「助成金が貰えるから研修」ではありません

私がサポートさせていただいた美容室オーナーに必ず初めにお伝えしていることがあります。

それは、『「助成金を貰うためにもらうために、教育(研修)に力を入れよう!」という考えはやめてください』ということです。

この『人材開発支援助成金』は各企業が様々な環境や立場にある従業員の育成・キャリアアップに対して、時間と費用を使って取り組んだことへの国からの金銭的サポートです。

これの前提を理解しないまま、助成金を利用しようとするのは本末転倒。
私の経験でいうと、そこを理解されない美容室はスタッフの育成も、助成金も両方うまくいきません。

考えの最初に「お金」が来てしまうと、「出来るだけ多く助成金を貰おう」という考えで研修を組み立ててしまします。
そうすると、先にお伝えしたように『人材開発支援助成金』は【経費助成】と【賃金助成】の組み合わせですので、、、

■経費助成を貰うために、または貰えるからと、外部講師をたくさん呼び、本来必要のないはずの研修が増える

■「とりあえず研修をやれば助成金が貰える」という考えで、内容が薄い、効果の低い研修を行ってしまう

■賃金助成を貰うために、とにかく時間数を増やす

というようなことが起こってしまう場合があります。
これは、どこに負担がかかるかというと、一番は研修を受けるスタッフたち。そして、研修を運営する担当者の方たちです。

スタッフがあまり意味がないなと思いながら研修を受け、またその研修が「会社がお金を貰うため」と受け取ってしまったらどうでしょう?会社への不信感に繋がりますよね。

そして、美容室のスタッフ育成をサポートしてきた私の経験として、、、

スタッフの育成のために考え抜いたカリキュラムや研修には、想像以上の時間と経費、労力がかかります。
そして、しっかりやればやろうとすればするほど負担は大きくなり、一方で育成の成果はすぐには見えにくいというジレンマに陥ります。
そんな葛藤を抱えながら、教育担当の方たちは毎日スタッフの皆さんに向き合って育成に取り組んでいます。

その時間・経費・労力といった負担への補填、そして研修内容をより良くするために助成金を利用するという考えで、助成金を利用した育成・教育に取り組んでいただきたいと思います。
こういう考えのもと、育成に取り組んでいる美容室は、「助成金」と「育成(教育)」をしっかり両立されて、成果にも繋がっていると感じています。

次のステップは、「助成金を利用できる環境」

スタッフ育成に関わる助成金の基本となる「助成金の仕組み(内訳)」「助成金に対する考え方」について今回はお話ししました。

ここを理解しているかどうかで長い間を通して、「助成金」と「スタッフ育成(教育)」をバランス良く両立して、上手に「助成金」を利用していけるかが決まってきます。

次回は実際にこの『人材開発支援助成金』を利用するうえで、「自社が助成金を利用できる環境にあるかどうか」、助成金の利用条件についてお話ししていきます。

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