新卒生を迎える準備は始めていますか?助成金編④【最終回】

教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。教育・研修に関わる助成金についてお話してきましたが、今回が最終回。 助成金を利用するうえでの「企業としての」助成金の利用条件についてお話させていただきます。

教育系の助成金(特に人材開発促進助成金)については、利用にあたり条件や整えておかなければならないことがあります。

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教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。前回は、スタッフ育成に関わる助成金の基本となる「助成金の仕組み(内訳)」「助…

「法令・ルールを守っているか?」

今までお話してきた『人材開発支援助成金』は厚生労働省が管轄する国の助成金です。国が助成する以上、「法令を遵守している」という部分は絶対です。

【POINT1】雇用保険・社会保険に加入してるか

事業規模や雇用形態によって異なりますが、雇用保険・社会保険の加入は、雇用主とって基本的な義務。さらに労災保険も加入の必要があります。

助成金の利用において、以前は雇用保険に加入していればOKなどありましたが、今は助成金の利用には、社会保険の加入が必要という認識でいて良いかと思います。

【POINT2】時間外労働・残業代の未払いはないか・最低賃金を下回っていないか

特に最低賃金については、雇用主自身が思い込みでルールと違った計算していることもあって、実際ルールに沿って計算してみると最低賃金を下回っているいうケースもあります。毎年最低賃金は上がっており、特に東京・神奈川など大都市圏は上り幅が大きいです。特に新卒生の場合、初任給を最低賃金をもとに設定している美容室が多いので、毎年見直していかないと、助成金の支給申請の際に労働局からの指摘で気づくということもあります。

【POINT3】会社都合の退職(解雇)を6か月以内に行っていないか

例えば、計画届を提出した日から遡って6か月以内に事業主都合の退職(解雇)を行っていると助成金を利用出来ないといった、「事業主都合による退職」に関するルールがあります。助成金によって事業主都合の退職の期間や起算日などそれぞれ違いがありますので、確認が必要です。

労務管理(出退勤管理・給与管理など)が出来ているか?

前回お伝えしたように、「人材開発促進助成金」は労働時間内に行った研修が対象になります。ですので、労働時間内に研修を行ったことを証明する資料を提出する必要があり、労働局側もそこをチェックします。

【POINT4】労働時間内に研修を行っているか??

労働時間内に研修を行っているかどうかは、計画時に提出した研修日程・時間などと下記の資料を照らし合わせてチェックされます。

①出勤簿(シフト表)→研修を行った日・時間は出勤しているか。休みの日に研修していないか?

②雇用契約書・雇用条件明示書→研修を行った時間は雇用契約上の労働日・時間内か?

③賃金台帳→研修を行った時間に対して給与は支払われているか?

④就業規則→上記の雇用契約(労働時間・給与など)就業規則に基づいているか?

こういった資料を提出することになりますので、一方で時間外賃金を支払っているか、最低賃金を下回っていないかという部分もチェックされることになります。

しっかり計画通りに研修を行ったか?

【POINT5】OFF-JT実施報告書・OJT実施報告書の記入

事前に申請した計画通りに、しっかりと教育・研修をした証明として、参加者or研修の運営は報告書を作成して提出しなければなりません。

①研修の運営側・講師が作成→研修の日時・内容…行った研修の日時や行った研修の内容を記載します。

②研修の参加者が作成…「どんな研修を受けたのか」「研修で学んだこと」「受講した所感」などを記載。

利用する助成金によって、提出する報告書の種類や記入者が異なり、①のみのパターン・①②の両方を作成するパターンなど様々で、詳細に具体的な内容で記入が必要だったり、大まかな内容だけでOKだったりと様々です。

ただ、どれも共通しているのは「計画に沿った内容なのか」「意味のある研修だったのか」「今後に活かせる研修だったのか」をチェックされます。

特に新卒生は文章を作成するのが、不得意の方も多く、文章量が少なかったり、内容が適当でない場合こともあるので注意が必要です。

まとめ

今回で助成金自体のお話は最後になりますが、教育・研修に利用できる助成金は様々あり、美容室にとってもスタッフにとっても利用するメリットは大きいと思います。ただ、そこには条件や自社の中で整えなければならない環境もあります。

個人的には、研修を行っている美容室は皆、「新卒生の育成・教育をしっかりと行っていきたい」という考えがあり、同時に「スタッフの環境を良くしていきたい」「長期的に活躍してくれるスタッフを育成したい」という考えもお持ちだと思います。

だからこそ、助成金の利用をきっかけに「会社として労働環境を整える」とうところも同時に行っていってみてはいかがでしょうか? 実際に助成金の利用をきっかけに、毎年、助成金申請のタイミングで「新卒育成の見直し(方針・カリキュラム」「労働環境の見直し(給与・労務管理)」を行うというサイクルになっている美容室も増えてきています。

助成金は専門的な知識や経験があるほうが、スムーズに利用出来ます。自分たちだけで考えて利用するかどうかを決めるのではなく、一度、社会保険労務士・労働局などのプロに相談してみてはいかがでしょうか?

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