【PRATER対談】ベルェベル美容専門学校×美容師寺村優太さん

今、動画とSNSで技術を勉強できると思うんですよ。でも、美容師って就職して1年目で30％～50％くらい辞めてしまって、3年以内に70％くらいの人が一度は美容師を辞めちゃう。その高い離職率の原因を考えたときに、美容師って仕事をなかなか自分事にできていない子たちが辞めちゃってるなって、僕が美容師を10年やっていて思ったんですよ。なので、早く「自分は美容師なんだ」「自分の技術でお客様をHAPPYにできるんだ」っていう体験を若い子たちにしてもらって、美容師を自分事にさせてあげたいなと思ったのがきっかけです。

今は「VR」って調べると色々と情報が出てくるんですけど、4年前は日本語での情報があんまりなかったんですよ。じゃあ、どうやってVRを制作したかっていうと、Twitterを使いました。僕のフォロワーさんに対して「VRに詳しい方やVRを制作できる会社の関係者の方がいたら連絡ください」「画期的な業界を変えるようなアイディアがあるので一緒にやりましょう」と、Twitterで投稿したんですよ。そうしたら「私の会社の別部署でやっています」と連絡をいただいたのが、きっかけでしたね。

VRを活用することで、美容学生が2年間で学校を卒業したら、現場で通用する人材にすることが僕のひとつの目標です。今だと2年間、美容学校で学んで卒業しても、美容室でお客様からも、スタッフからもあまり必要とされるところまで達していなくて。だから、練習をたくさんしなければいけなかったり、最初はお客様に嫌な思いをさせてしまったりして・・・そこで挫折してしまったり、「楽しくないな」って思っちゃったりする人が多いので、早く、美容学生のうちから即戦力を育てて、むしろ美容室の方から「この子、ほしい！」って言われるような人たちを、ＶＲを活用した授業を受けてくれている人の中から出したいと思っています。あと、国家試験を変えたいです。70年前から国家試験課題が一緒で、今の時代に合っていないんですよ。ただ、変えられない理由ってのが、新しい課題をつくると、その課題を先生方も覚えないといけないから、先生方が今後は勉強しに行かなければならないし、日本中の学校が先生の勉強代を負担できるかというと負担できないから、国がお金を出さなければいけなくなっちゃうんですね。あとは、国家試験の審査員も同じ基準で合否を出さなければいけないから、審査員の教育もしなければいけなくて、国家予算が必要になっちゃうんですよ。そんなことが原因で70年間、変わらずにズルズルと来て、ようやく今、テクノロジーを使って、例えば最近だとＡＲと言って、スマホのカメラをかざすと合成されたりするじゃないですか。ああいう技術を使うと、例えばワインディングオールウェーブも合格の形を認識させたら、カメラをかざすと何％ズレているかって分かるんですよ。ただ、まだ制作にコストが掛かるから美容業界にあまり入ってきていないんですけど、将来的にそれができるようになれば毎年、国家試験課題が変わっても人間が審査するのではなくて、機械で審査できるから、より時代にあった勉強が美容学生時代にできるなって。
あと、もうひとつは、美容師の初任給って16万~18万くらいじゃないですか。スタイリストになって、22万くらい。そこから大体は歩合で、指名売上の何％とかが給料に上乗せされる仕組みなんですよ。でも、美容学生のうちにアシスタントとして必要な技術をほぼ習得して、もし入社した場合、いくらくらいで雇いたいですか？って有名店のオーナーに聞いたら、23万~25万出してもいいって言うんですよ。だって、教育コストが今までよりも削減できて、最初っからできる子を採れるんだったら、もうすぐにカットを覚えさせてお客様へいっぱい入らせてあげたら1年くらいでデビューできちゃうから、22・23万払う価値はあるって皆、言っているんですよね。
なので、僕の理想はＶＲをやってくれた子たちが就職で有利になって、通常の初任給よりもプラス5万で新卒採用される世の中をつくるってこと。皆も、その方が良くないですか？

いくらくらいだろう・・・今、僕は会社も経営しているので、実質、入ってくるお金全部が収入ではないんですよ。何にどうお金を使っていくかなんですけど、僕がスタイリストになったのが一応24歳。4年間、アシスタントをやって、5年目の時にスタイリストになっているので、24歳と25歳の間くらい。24歳の頃で、年収1,200万くらいは超えていました。月100万くらいは稼げてて、でも、20代半ばはやっぱりお客様をいっぱい獲得したいとか、売上をどのくらい出せるか・・・
僕は26歳のときにアシスタントをひとりも使わずに、マンツーマンで月480万円っていう売上を出したんですよ。アシスタントを使わない売上で日本一で、まだ誰にも抜かれていないんですよ。そのときに、いっぱいお金稼げたけど、そんなにいらないなって。自分ひとりのためにお金を稼ぐよりも、頑張っている人たちがお金を稼げて、もっと良い美容師が増えた方がいいなって思ったんで、今は僕は美容師を週2しかやっていません。
4年前にＶＲをやると決めてから、新規のお客様は全部お断りして、逆に良い美容師さんをお客様へ紹介して、既存のお客様だけ対応させていただきながら、こういう開発とかをずっとやってきて、どっちかっていうと美容師の収入はドンドン減らしてるんですよ。だから、今より昔の方が稼いでたかもしれない。
今はお金を稼ぐことよりも、若い子たちが輝ける世界をつくることの方が楽しくなっちゃって。ＭＡＸで稼いだときは月300万くらいです。僕は、とんでもない夢なんですけど、宇宙ではじめて髪を切る美容師になりたいんですよ。とんでもないでしょ。なんでかっていうと、ZOZOTOWNの前澤社長とかが月へ行くじゃないですか。あのロケットを開発しているSpaceXの社長ってイーロン・マスクが火星移住計画を本気で進めているのね。その一環として、前澤さんは月にまず行って、帰ってくるってことをやろうとしているし、その社長は本当にこのままいくと地球に人が住めなくなっちゃう、石油資源がなくなっちゃって、人口が増えすぎて職業がなくなっちゃっうから、だから本気で火星に人類を送らなければいけないから、本当に全財産を掛けて火星移住計画を進めていて。でも、このままじゃ火星に行くよりも先に人類が滅んじゃうから、何をやったかっていうとテスラって電気自動車の会社をつくって、今、ＴＯＹＯＴＡよりも株価が高い車なんですよ。テスラモーターって車をつくりたくて会社を立ち上げたんじゃなくて、人類を火星へ送るには、まだ自分の会社がそこまで達成するには時間が掛かるから、地球が滅ぶのを防ぐために太陽光発電の車会社をつくっちゃったっていう・・・そんなヤバイ人がいるんですよ。その人が本気で火星移住計画をやり遂げようとしているって知って、僕もいろいろ調べたときに、あと100年200年後の世界だけど、地球で住めなくなっちゃうかもしれない。そうなったときに、宇宙で暮らすじゃないですか。でも、地球って重力があるから髪を切ったときに顔周りに前髪があるし、カラーもパーマも重力があるから薬剤が浸透する。現状のままじゃ、宇宙でオシャレできなくなっちゃうなって思って。宇宙に行って、最初に髪を切ったら、若い世代がそれを見て「ヤバイ、このままじゃ宇宙でオシャレできないじゃん！」って思ってくれたら嬉しいなって。それをやりきってから、死ねたらいいなって思っています。