【PRATER対談】SDGs的なサロン経営

こんばんは、PRATER監修・マーケティングコンサルタントの竹内です。本日のゲストは、渋谷と原宿の間の美容室、December代表の北田ゆうすけさんをお迎えして進めていきます。北田さん、よろしくお願いいたします。

※こちらの記事はstand.fmで配信中の「PRATER radio」を加筆修正してお送りしています。

ワールドカップからチームの監督へ

竹内
まず、北田さんのプロフィールを簡単にご紹介いたします。現在37歳、山野美容専門学校を卒業し、GARDENへ入社され約12年勤務後、2018年に独立し渋谷と原宿の間の美容室DecemberをOPENされました。2店舗目のlaundryもOPEN、スタッフ13名と共に運営をされています。北田さんがGARDENで活躍された後、独立された理由をまず教えてください。
北田
僕が働いていた環境っていうのはスター選手が沢山いるような空間で、色んな技術のかたちがあって、それぞれがまるでワールドカップみたいな状態のサロンだったんですね。僕もイチ美容師として、そこでトップになるために切磋琢磨したり可愛いデザインをつくるために追求したりして、一番になろうと一生懸命やっていたんですけど、沢山いる分、やっぱりひとつにまとまるっていうことは難しいなと思って、自分がやりたいビジョンっていうのが皆で手を取り合いながら、良い感じにチームとして成長していけるようなことだったので独立を決めました。なので、何て言ったら良いんだろう・・・ワールドカップを経験したけど、チームの監督になりたい、みたいな感覚です。
竹内
北田さんとは私も非常に長い付き合いですが、ワールドカップという言葉が挙がりましたが、これはやはり日本でも有数の大所帯であるGARDENで、色んなジャンル・カテゴリのスタイリストやスタイルを発信されている点で、多種多様な美容師が様々なスタイルを生み出している。そのなかには沢山のクリエイティブが存在している。ある意味、そのクリエイティブに関するワールドカップ。大きな組織から、北田さん自身の色・世界観など統一性を持たせたものを新たにつくりたく、独立されたということでしょうか?
北田
まさに、その通りですね。やっぱりナチュラルだけど、ちょっとオシャレみたいな世界観を、きちんとサロンとしてつくっていけたら、と思ってDecemberを出しました。
竹内
北田さんが独立してから約3年、振り返ってみるとどんな3年間でしたか?
北田
3年が無茶苦茶長かった、っていうのと一番ヤバイなと思ったのはコロナが来たときに「これヤバイな」って思いました。でも何とか乗り越えて、3年間で一番印象的だったのは「スタッフに恵まれたなあ」っていう、それに尽きるなって思います。やっぱり凄く人を大切にしたいなって思って、スタッフファーストでサロンをつくっていこうって決めて、色々とスタッフが入ってくるなかでも良い人材が集まって、協力し合ってサロンを盛り上げてくれた・・・独立して自分が一番強く感じているのは、そんな人のことですかね。

スタッフが残る仕組みづくり

竹内
この3年間で2店舗目のlaundryも出店され、本当に順調に、ナチュラルに、着実に成長を遂げられていると私も認識していますが、その秘訣として先ほども挙がった「良いスタッフに恵まれた」ことがあるかと思います。良いスタッフを採用していくための戦略としては、どのような取り組みをこの3年間でされてきましたか?
北田
結果的にスタッフが良いスタッフたちで、今のサロンができているっていうのもあるんですけど、僕が働いていたときに感じたのは、美容室は離職が凄く多いっていうこと。何と言うか、皆で支え合いながらやるチーム、サロンって考えたら、やっぱりスタッフが長く働けることは大事。離職を減らすためにはどうすればいいかなっていうことを最初に考えたんですけど。ということで、リクルートをどうしようかなと最初に考えました。長く良いサロンを続けていくために、スタッフが残って自ら発信していける環境をつくるために一番大事なのはリクルートなんじゃないかと思って、結構そこを考えたんですよね。学生とか若手の美容師さんって、サロンを探すときにスタイルとインテリア・サロン空間を凄く見るな、と見学に来た子と話したり面接をしているなかで感じたんですけど。そこのサロン空間とスタイルのクオリティ維持などを、しっかりとやってきたことが良かったかなと思います。あとは、そこに対する自分たちが伝えたいこと・メッセージ性、サロンをつくっていく上で一番大事な理念とか、そういうのをきちんと提示して共感してくれる子たちを採りたいなと思って、そこまで考えたことが凄く良かったなと感じます。それと、Instagramでしか求人を出さなかったんですけど、学校求人とかになるとパイが広がる感じがしていて。でも、やっぱり自分たちが来てほしい、一緒に働きたい人材って考えたときに、媒体を絞って、そこにちゃんと見に来てくれる人たちへ届けば、としてきたことが功を奏したと思います。1年目から比べて倍々で求人が増えているのも、それがひとつの理由なのかなと思っています。
竹内
非常に貴重な採用に関する話を聞かせていただきました。採用ツールとしてSNS、特にInstagramを活用したとのことですが、具体的にどのようなInstagramでの発信をされてきましたか?
北田
もちろんスタイルをメインで流してはいるんですけど、投稿に関してはそういうのが目に付いて見てもらいやすいと思うんですけど、そのなかでもストーリーズでスタッフ同士を載せたり、お客様のことを載せたり、サロンのことを載せたりすることが、うちのスタッフは凄く多くて、そういうのを見て空気感がわかる、感じが良さそう、というような空間で働いているリアルなものが届いたことが結構大きいかなと思います。

SDGs的な経営へ

竹内
ナチュラルな、着実な成長を遂げているDecemberのInstagramを活用した発信。その発信内容としては一貫したスタイル、リクルートへのメッセージ性など、本当にDecemberというサロンに合う美容師さんとのマッチングに重きを置き、サロンの中身をリアルに伝えていって互いに幸せになれるような採用戦略。サロン側も美容師側も共感し合えるかどうかを重視した、お互いがwin-winになれるような関係性を求めた採用戦略だと感じました。継続的な成長ができる仕組みを、無理なく自然なかたちでつくり込んできた北田さんを見ていると、経済的な観点で言う世界的トレンドでもあるSDGs的な経営をされているんじゃないかなと思います。北田さんはSDGs的な要素を意識して、ここまでサロン経営をされてきたのでしょうか?
北田
いや、まったく意識してないですね。最初からこれを考えてやっていたわけではないので、僕としては爆発的にドーンって感じよりは、一歩ずつ地道に成長していくようなサロンづくりが向いているのかなと思っていて。挑戦はもちろんするんですけど、失敗しないっていうのは一番大事かなと考えてやってきた結果、今、SDGs的な感じと言われて初めて気づいた感じですが・・・(笑)最近、SDGsについて調べていくと、結構はまっている部分も多々あって。サロンでピアスを販売しているんですけど、それは障がい者の方がつくっていて、うちで売ることでその人たちの給料になるっていうのがあって。それが結構、初期の段階から社会貢献を何かしたいなと思って始めていたんですけど、そういうのとか。あと、コロナ禍になってから病院にシャンプーを贈ったりもしたんですね。他にもスタッフの働きがいを意識した出店計画やプロジェクトに取り組んだりしていて。SDGsに質の高い教育って書いてあったんですけど、その点もDecember的ノウハウっていうのが実はあって、1年かけてDecemberらしさなどを伝えて、他で学べることも沢山あるけど、そのなかでもちゃんと価値があるような内容をしっかりと伝えているものひとつあります。あと、男女平等、ジェンダー平等に関しても、男性が多すぎたり女性が多すぎたり、偏りがあるのが嫌だなと思って採用を半々にしているんですね。できる限り半々を保つように考えていて、そうするとお互いの意見としてどちらか一方が強くならないように、両方を尊重できるような環境づくりに繋がると感じて採用の仕方を工夫しています。なので、全体的にね、最終的にはまっちゃったみたいな部分がありますけど。
竹内
北田さんの話を聞いていて、ナチュラルにSDGs思考をされているなと感じて。このSDGsと北田さんのサロン経営で重なっている部分があるのかなと思って、この質問をしました。主に4点、まずは障がい者支援に繋がるピアス販売、働きがいのある会社組織を継続的にするための出店計画・プロジェクトの検討、質の高い教育をオリジナルで考えスタッフの成長を促すノウハウ、そしてジェンダー平等として採用時点で男女半々の状況を保つようにする工夫。これらの北田さんの自然な思考がSDGs的な経営へ繋がっていて、独立からの3年間で着実な成長を遂げているからこそ、これからも持続可能な成長をし続けられる・・・そんな期待に胸が弾みました。最後に、3年後・5年後・10年後など今後のビジョン、これからのDecemberの発展についてどのようにお考えでしょうか?
北田
そうですね、僕的にはシェアし合う、そういう優しい世界の方が好きなので。ありがたいことに地方の美容師さんとか他の美容師さんから、サロンの内装やスタイルのことなどを沢山褒めていただける機会が多くて、この3年間で講習とかも色々とやってきたんですけど、やっぱり単発で終わるものが多くて、せっかくだから自分たちがやってきたことが魅力的に映るんであれば、そのサロンさんと一緒に伝え合ったりしていければ良いんじゃないかなと凄く考えていて。先ほど言ったオリジナル教育も、両方にとってのプラスになるのであればパートナーサロンのような感じで、僕らもお客様が引っ越しなどで離れていくときに、「このサロンなら一緒にやっているから、良いですよ!」っていう風に伝えることができれば良いなと思うし。Decemberには通えなくても、Decemberがやっていることを同じように取り組んでくれているサロンさんがその地域であれば、そこでも幸せなお客様が増えるので、そういったサロンさんと手を取り合うようなパートナーサロンではないけど・・・パートナーシップみたいなことをしたいなと思っています。自分たちが良いと思ってやってきたことを、それを良いと思ってくれる人たちへきちんと伝えて、喜んでくれる人が増えたら嬉しいなと思います。
竹内
Decemberは、非常にクリエイティブなサロンだと思います。北田さんが展開しているクリエイティブサロンのあらゆるノウハウ的なことを全国のサロンさんへシェアしたり、教育におけるwin-winな関係性を築く取り組みを現在、水戸・仙台のサロンと既にスタートされていて、お互いに良い関係性をつくるような、共感し合えるようなサロンを一気にではなく一社一社増やしていく。そんな北田さんの経営はSDGs、特にサスティナブル(Sustainable)の要素、無理をしない・持続可能な要素が数多く当てはまっていたのかなと感じました。今後の美容室経営を考えたときに、やはり一気に名が売れることは誰もが憧れるものの、バランス良く売れていくことが長きにわたってスタッフを幸せにしたり、スタッフの成長と共にクリエイティブの機会・クリエイティブの露出も着実に増えていく仕組みをつくったり・・・今後もDecemberに対する期待値が継続的に膨らんでいくような、そんなバランスのとれた経営、3年後・5年後・10年後もナチュラルに成長を遂げていくような思考に基づいた経営をされていることこそ、私が感じた北田さん式のSDGs的サロン経営です。北田さんへの質問等ございましたら、PRATERへDMをお送りください。北田さん、本日はありがとうございました。

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