【訪問美容】お節介くらいがちょうどいい

こんにちは、市役所勤務の訪問美容師 大坪亜紀子です
今回は、「giveto.」で行っている、具体的な活動(ニーズ)のご紹介です。

まず、こちらの記事をご覧いただき、今回の記事を読み進めていただけると嬉しいです!

ターゲットを明確にして、深く関わる

シズコさんに初めてお会いしたのは、髪を切る3日前。その目的は、事前カウンセリング。
優しい表情で寝ている終末期のシズコさんから要望を聞くことはできないけれど、様子を見にくる娘さんからは、ヘアスタイルの歴史を伺い、担当職員からは「おでこが広いことをいつも気にしていた」と聞く。
何よりも上品な装いや、部屋に飾られた写真からは、シズコさんの好みを感じることができました。

ヘアスタイルの歴史を伺うと、パーマスタイルを保ち、ふんわりヘアがトレードマークだったシズコさん。美意識はとても高く、美容院へ行くことを欠かさなかったそう。ただ、介護が必要になってからは近所の美容室へ連れていくことに。そこではとてもよくしていただいたが、いつもの母らしい姿にはならず、似合う髪型とは程遠い。そして、とても手際が良いがゆっくり過ごすことができない。

でも、美容師さんにも想いがあったはず。
寝癖が付きにくく、早く乾く髪型を。介護している方にも扱いやすい髪型を。長時間は負担だから早く終わらせてあげよう……とか?
きっと、「介護が必要」という側面が邪魔をしているのかな。

当日は楽しい雰囲気で終わり、そんなシズコさんを羨ましがる施設内のお友達がのぞきに来たり。その後もお風呂の日にはスタイリングをしに訪れ、2週間後にメンテナンスカットを施し、シズコさんは最期を迎えました。
そしてお線香をあげたあと娘さんからは、「今度、私の髪も切ってほしい。」と。近所の美容師さんが踏み込めなかったラインを飛び越えたことでできた関係性です。

美容師を飛び越えて、少しお節介になる

私自身もまだまだ模索中だけど、この訪問美容の正解は、寄り添うことなのではないかと感じています。これは、多くの美容師さんもおこなっている当たり前なことだけど、ここでの寄り添い方はもう少し奥まで入り込むということ。そして、想いの核となる部分をどう捉えて、髪を切るという行為にどうリンクさせるか。

シズコさんのもとへ何度も行くことは家族から求められたことではありません。私がそうしたかったから。でも、家族の願いをこうすることで叶えることができたのではないかと思います。

もちろん、美容室だから感じる満足感だってあるし、今ある訪問美容で多くの方が喜んでいると感じます。でも、こんな時だからこそ今一度「喜ばれる」「求められる」ニーズを、作り上げられた常識みたいなものにとらわれず、新鮮な気持ちで感じることが大切なのかもしれません。そのためには、良いと思えることには自信をもって挑戦する、これは立場も場所も関係ないはず。

私は、引き続き、自信をもって挑戦し、過去の「手ごたえ」をどんどんアップデートさせたいと思います。

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