これからの美容業界、生き残るのは小型店か大型店か!? 【後編】

こんにちは、Y’s hair GROUP(ワイズヘアグループ)を運営するZIMA ENTERPRISE 代表取締役 CEOの和田島靖史です。

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お客様の価値観が大きく変わるとき。サロンではどうする?…

前編では問題提起をさせていただきました。3密ではなく、スタッフを雇用していない小型店がこれから業界の常識となるのではないか!? という可能性についてお話ししました。もしそうであるなら、大型店の取るべき対策は何なのでしょうか。

これは、大か小かどちらが優れている、というお話ではありません。業界として共に勝つ! という選択肢を模索する上での一助となればと思っています。ただし、私は預言者でも経済アナリストでもないですから、あくまでも私見を述べているだけで、ここでつらつら書き綴っていることは想像の域を全くでない独り言のようなものです。

業界の未来について、様々なご意見があるでしょう。この記事で皆さんが今一度将来について考えを巡らせていただければ、それで十分。それこそがこの記事の本来の目的です。

大型店の対策として

それでは、大型店はどのように時代に合わせて変化していけばよいのでしょうか。ここでいう大型店とは、複数のスタッフと複数のお客様が同時にその空間に存在しているサロンのことです。

もしかすると、大型店は3密を避けて個室をベースとしたリノベーションが流行るかもしれませんね。実際、弊社では個室を設備したサロンもありますが、このコロナ騒動以前から個室は人気で、なかなか予約が取りにくいほどです。そんな需要があったのだという気付きになっています。店舗改装や、新規オープンをお考えの方は個室という選択肢もここは1つアリではないでしょうか。

マンツーストアって?

もう1つは、マンツーストアにそのカギがあると思っています。マンツーストアとは、聞きなれない言葉ですね。ググってみても私のつけたハッシュタグが出てくるだけです。造語です。マンツーマンはおわかりだと思います。1対1という意味です。つまり、1人のお客様に1人の美容師ということです。

マンツーストアとは、1人のお客様に対して、お店(ストア)全体で向かうという意味で、マンツーマンに対比する言葉と思っていただければいいでしょう。この言葉は、とある勉強会の中で、講師が何気なく放った一言をいただいたものです。以後、自分流の解釈で使っています。

ストアに存在する人・設備・接客・サービス・時間・空気・匂い・音・光、それら全てがシナジーとなって1人のお客様をもてなすのです。そして、そこにいるすべてのスタッフが、全員接客、全員ヘルプ、全員リアクションという気持ちでお客様に臨んでゆきます。

お客様の下さった差し入れ

例えば、お客様が差し入れにケーキをくださったとします。全員リアクションですから、何らかの反応をみんなでしていくのです。スタッフルームには、どなたがくださったのか共有するためのメモ書きがされている。先につまみ食いしたスタッフは、お客様のところへ行ってお礼や感想を言うでしょう。そしてそこから会話も弾む。

言葉でいうのは簡単ですが、実際はなかなかできることではないはずです。そこには仕組みが必要となります。仕組みがお店の風土となって、それが当たり前にできるようになり、習慣となります。思わずやってしまう……それが習慣ですね。

逆にそれができないサロンであればどうでしょう。レセプションが預かり、お礼を言ってスタッフルームに持ち込んで冷蔵庫に入れる。担当スタイリストからもお礼を述べることもなく施術が始まる。いただいたケーキは、忙しさのあまり終業まで手を付けることなく放置されている。しまいには、どなたがくださったのかもわからない。当然、次回ご来店されたときに開口一番のお礼を述べるなど、到底できるはずもない、なんてことが起きているとしたら……。恐ろしいことですよね。

こういうことは、クレームにはなりません。しかし、お客様は相当気分が悪いでしょう。他のクレームとなって顕在化するかもしれませんね。そして2度と差し入れをくださることはないでしょう。これでは、マンツーストアは成立しません。

小型店が真似できないこと、それは……?

わかりやすいのでお客様がくださった差し入れを例にとりましたが、他にも書ききれないほどあると思います。たとえば、他のお客様をご紹介くださったとき、ご結婚が決まったとき、お子様が生まれたとき、お子様が入学されたとき、おすすめしていたシャンプーを購入されたとき、初めてスパを体験されたとき、初めてパーマをかけたとき……枚挙に暇(いとま)がありませんね。

マンツーストアの意識で、サロンの空気は変わります。設備や備品、空間、メニューも大事ではありますが、特に人が決め手だと思います。これだけは小型店がどうやっても真似のできない部分なのです。

そのほかにも、大型店ならではのスケールメリットを生かしたEC(エレクトリックコマース)サイトの確立、つまり通販システムへのシフトですね。店販商品を、顧客が家で居ながらにして手に入れることのできる仕組みです。すでに大手メーカーも乗り出してきていますから、急速に普及してそれが当たり前の世の中になるでしょう。大型店で流通量が多ければ、それだけ変動費を抑えて粗利を稼ぐことができるでしょう。

さらなる進化の時

マンツーストア。弊社も全店そのように指導し、それが正しい道だと信じて進んできました。しかし、ここにきて問題が発生したのです。コロナ対策はこの真逆です。触れ合う人数は少ないほうがいいのですから。全員接客などしていたら、もしもの時にはスタッフ全員が濃厚接触者となってしまうかもしれません。

ですから、今までのようにはできません。しかし、物理的な距離でなくても、伝わるものはきっとあるはずです。お客様は、その空気を敏感に感じとるプロです。スタッフみんなで、1人のお客様をもてなす気持ちはそのまま大切にしてゆかねばなりません。その空気に触れたときに、お客様は何とも言えない心地よさを感じてくださるに違いありません。

語り掛け歩み寄るサロンへ

全てのものが語り掛け、歩み寄るサロン。全てのが語り掛け、歩み寄るサロンが新しい時代を切り拓いていくのだと私は思います。なぜならば、それが大型店でしかできない意味と価値だと思うからです。

大きいサロンがお好きな方、小さなサロンがお好きな方、それぞれいらっしゃいます。また、高単価のサロンに通われるお客様が、低単価のサロンに乗り換えることはそんなにはないはずです。その趣向はそんなに変わらないでしょう。

大型か小型か、低単価か高単価か、要は完全に二極分化が進んだときに、それぞれがそれぞれの分野で、それぞれのお客様に支持されて生き残っているかどうかです。

美容業界のみならず、大局的には二極分化だと多くの業界でも叫ばれています。そして、前編冒頭に申し上げたとおり、人が集まることの意味と価値が問われる時代に、一瞬のうちに大きくシフトしました。

 

人が集まることによほどの意味と価値を感じていただけるかどうか。それを探求し続けて、その付加価値をどう高めていけるかが勝敗の分かれ道ではないでしょうか。そして、お客様が「やっぱりこの店がいいわね!」と言ってくだされば、それが全ての答え合わせですね。全ての答えはお客様が持っていますから。

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