【サロン経営】何を売って何を売らないのかの見極めるべきポイント

こんにちは、Y’s hair GROUP(ワイズヘアグループ)を運営するZIMA ENTERPRISE 代表取締役 CEOの和田島靖史です。

一気に夏を思わせる気温になりましたね。そんな気候になるとよく見かけるのが「冷やし中華を……」的な例のやつ。夏になると食べたくなる冷やし中華。夏バテで食欲が落ちてる時などは最高ですね。私、麺類が大好きなんです。今日は、サロン経営にとって、何を売って何を売らないのかというお話をしていこうかと思うのですが、わかりやすくお伝えするためにラーメン屋さんを例にとってお話ししますね。

最後は何屋さんかわからなくなる!?

タイトル、意味わかりませんよね?(笑) 解説が必要です。例えば、【 冷やし中華はじめました 】とうたうラーメン屋さんがあったとします。年数が経つうちにお昼のランチを始めて、夜は居酒屋メニューが出てきて。結局、何屋さんかわからなくなってしまったというのはよくある話ですよね。

もっとも、【冷やし中華はじめました】という告知は、暑くなってきて冷たいものが食べたい、そういう季節になったから今年も始めるよ! ということでお客様に告知をしているわけですが、ここはモノのたとえとして聞いてください。

地元にも私が好きでよく通ったお店があったんです。この前行ったらなくなっていました。そのお店が前述のとおりでした。私は好きな味だったのですが、いつしかメニューが増え、それと同時に味も変わって。最後はカレーライスもメニューにありました。あのラーメンの味が好きだったので、とても残念な思いをしました。

もちろん、それぞれの事業スタイルを私がここで批判するものではありません。副業が本業になったり、サイドメニューが大当たりして全国展開、なんてお話もあるでしょう。しかし、それはほんの一握りのケースであり、よろずコンセプトや顧客ターゲットを逸脱してしまったビジネスモデルのたどる道の多くは、成長よりも現状維持か衰退しているというのが実情だと思います。

大手チェーン店が貫き通したビジネススタイル

2000年初頭に発生したBSE(狂牛)問題の際、ある大手牛丼チェーンはアメリカからその特有の部位の輸入ができないというときに、本来の味が変わることを懸念して他の輸入先を諦め、販売中止という選択をしました。そうしてコアな顧客を守ったのです。実際、最後の営業日には長蛇の列ができ、涙ながらに箸をつけれないという客がいるほどでした。そうまでして味を守り通したこの決断、なかなかできることではないなと、今でも語り草になっていますよね。

一方そのライバルであった会社では、輸入先をオーストラリア産に変更し、その間隙を縫って業績を伸ばしたとか。そこにはそれぞれの何を売って何を売らないか、誰に売って誰に売らないかという企業の理念が見えますね。

みんなが知ってるあのお店は!?

さて、お話を元に戻します。では、夏には熱いラーメンは売れない? いいえ、猛暑にもかかわらず行列のできているラーメン屋さんもあります。私の大好きな博多本拠地の某有名店さんは、とんこつ1本で勝負するお店です。食事どきでなくても行列ができる超繁盛店。あの、ひとり毎に間仕切りがあるあの店です。もうおわかりでしょう(笑)

言いかえれば、夏の暑いときにでも、汗でダラダラになりながらでも食べたくなる! というほどの価値があるラーメンなのです。一蘭さん(あ!言っちゃった)は、きっと冷やし中華は始めないと思います。とんこつラーメンをとことん追求し、極めているんですから、他のものは売らないはず。ラーメン屋さんでなくても、そんな繁盛店は皆さんの周りにもたくさんありますよね? 他にない価値ならそこに行くしかないのです。繁盛店セオリーですね。

何を売って何を売らないか、誰に売って誰に売らないか

何を売りものにすると決めた時点で、売らないものが同時に決まっています。また、誰に売ると決めた時点で、誰に売らないかも決まります。つまり、何を売って何を売らないか、誰に売って誰に売らないかですね。

もっと言えば、何を変えて何を変えないか、どこで売ってどこで売らないか、誰と(一緒に働いて)売って誰と売らないか、何を(従業員に)教えて何を教えないか、といろいろと次々と決まってくるはずです。

何かをはじめることは意識できても、はじめないということはなかなか意識できません。光を浴びません。ですから、物事の相対性を考え意識のコントラストを強くすることで、すべきことがより明確になるはずです。むしろ、手を出さないことを決める、やらない選択を明確にしていく、なぜやらないのか、それは……と、やらないことの明確な意思決定が大切なのではないでしょうか。

我々の仕事にも、このような考え方は大いに活かせると思います。迷ったときの道しるべとなるでしょう。しかしながら、文章にすると非常に簡単なお話なのですが、これを実践するのはとても難しいことです。そうしたくてもできない。理想ばかりではうまくいかない。背に腹は代えられない事情があるでしょう。私もです。

がっかり失客!?

最も恐ろしいのはお客様に対する裏切りととらえられてしまうことです。いわば、がっかり失客です。その方針にほれ込んでご来店していた顧客を失うことですね。あの私の大好きな吉野家さんの牛丼(あ!言っちゃった)のように、たとえ緊急時であっても、どう顧客を守るのかが大事ですね。目先の売り上げよりも伝統を守ったのです。

サロンで例を挙げると、技術売り上げが最近伸び悩んでるな、と。これからは店販を頑張るときが来た。それで何とか売り上げを取り戻そう。そう考えたとします。今まで店販のお勧めがなかったサロンが、急にお客様にお勧めし始めるわけです。そうすると、この店は何も勧めてこないからよかったと今までついてきた顧客は、がっかりして失客するかもしれません。

私だったら、まずは客単価に目を向けます。美意識の高揚を付加価値として、それに訴求する顧客を集め、そののちに店販を頑張る。美意識の高いお客様はきっと店販もご購入くださるからです。

また、こんなお店があったとします。オープン当時はウェルカムドリンクを出そうと、ご来店時にハーブティーをお出ししていた。レセプショニストを雇用してそれに対応させていたが、なかなか定着してくれずやめてしまった。売り上げも伸び悩んでいる。こんな不景気に余剰人員は抱えきれないよと、いつしかレセプショニストの募集をやめてしまった。かといって、アシスタントの雇用もままならない。

当初いろいろ考えて鳴り物入りで始めたサービスは人員不足でいつしかできなくなり、かといってお客様からいただく料金を下げたわけでもないので、お客様にとっては実質的値上げを強いているという結果に……。と、このような例は往々にして美容室あるあるではないでしょうか。

理念経営の実践

私も自戒の念を込めてこれを書いています。数々の失敗を繰り返してきたからこそ、何を売って何を売らないか、誰に売って誰に売らないかの概念がとても大切なことだと思うのです。

決めたことを初志貫徹でやりとおす。同時に、なぜならばと、明確な論理構造を持ってやらない・手を出さないことを決める。理念経営の実践です。しっかりと見通しを立てて、付け焼刃にならないようにサロン運営をしていきたいと思います。ウリモノを明確にするために。

だから私は冷やし中華はじめません!の張り紙をサロンのよく見える場所に貼っておきたいくらいです。貼りませんけど(笑)

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