【新型コロナ対応】知りたいけどわからない! 雇用調整助成金って?

教育/採用/助成金コンサルタントの遠藤です。

緊急事態宣言が発令され、対象地域の美容室では休業に入るところも多く出てきていると思います。育成・採用コンサルタントとして、教育担当者・講師の方々と教育カリキュラムや自社アカデミーの開設のお手伝いをしていますが、仕事上、教育系の助成金申請のサポートも社会保険労務士の方々と協力しておこなうことも多くあります。

そんなこともあり、今月に入り、「雇用調整助成金」についてのご相談を多く受けています。雇用転換や人材育成系の助成金利用している美容室は多いかと思いますが、今まで「雇用調整助成金」をほぼ利用したことがなかった美容室がほとんどかと思います。

知りたい! けどわからない! ということが多かったかと思いますので、私が簡略化してお伝えします。

※あくまでも様々な情報を収集したうえでの個人的な見解であり、また特例に次ぐ特例が発表になっている最中ですので、内容に時差がありましたらご了承下さい

「雇用調整助成金」とは?

わかりやすくいうと、社会的な要因などで経済悪化があった際に、業績が大幅に減少するなどして、従業員を休ませ、休業手当を支払った場合に適用される厚生労働省管轄の助成金です。

過去に東日本大震災・リーマンショックなどでもこの助成金が多く利用されましたが、今回の新型コロナウイルスについてはその要件対象・金額などが広くなっているのが特徴です。

新型コロナウイルスの影響を考え、現行から特例を出し、さらに特例の特例が今の状況です。

「雇用調整助成金」新型コロナウイルス特例とは

特例発表の内容をおおまかにいうと……

■ 緊急対応期間:2020年4月1日~2020年6月30日

■ 対象企業:新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)

■ 要件:生産指標(販売量・売上高)が1か月5%以上低下

■ 対象者:雇用保険被保険者でない労働者の 休業も助成金の対象に含める
⇒雇用保険に加入していないパートさんなどの救済も拡充

■ 助成率:中小企業 5分の4・大企業 3分の2

★ 解雇等を行わない場合:中小企業 10分の9・大企業 4分の3

■ 計画届の事後提出を認める (2020年1月24日~2020年6月30日まで)

「月給の90%?」「休業手当の90%?」

美容室オーナーからのご相談で1番多いのが、「いくらもらえるのか?」「うちは中小企業で、解雇もしないから、1か月の給与の90%もらえるんだよね?」という質問を受けますが、そうではありません。

また「従業員に支払った休業手当の90%だよね?」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、それも正確な金額ではありません。では中小企業で解雇なしの場合に「何に対して90%もらえるか??」というところです。

「雇用調整助成金」のガイドブックを実際見てみると……

厚生労働省から出ている「雇用調整助成金」ガイドブックをみると、申請書類の「助成額算定書」いうものがあり、これを順番に記入していった上で計算式から助成金額が算出されます。

その算定方法を簡単にいうと、基準となる金額は、

前年度の1日あたり平均賃金×休業手当の支給率(60%以上)
※「休業手当」は「平均賃金」の60%以上と決まっており(もちろん100%でもかまいません)、労使協定が必要です。

これに助成率(中小企業・解雇なしであれば90%)をかけた金額が1人当たりの日額の支給金額になります。

あくまでも「前年度の1日あたり平均賃金」いうのが基準になり、企業各事業所)が提出している労働保険(雇用・労災)の確定保険料申告書の記載内容をもとに転記して算出していきます。

助成金は企業(事業所)として申請し、支払われるものですので基準は企業(事業所)単位で考えていきます。そのため、現場の美容師に限らず、パートさんや本部スタッフも含まれた数値になってきます。

これが助成金のわかりづらいところで、各社員に実際に支払った「休業手当」と企業として支給される雇用調整助成金の助成額は直接的に紐づいていないということなんですよね。

イメージされている金額とちょっと違うかも、、、

ちょっと分かりにくかったと思いますが、最終的にお伝えしたいのは、

イメージとして、

「スタッフAさんは、月給22万で1日当たりの日給は¥10,000。休業手当で80%の8,000円をAさんに支払ったから、8,000円助成金で戻ってくるよね(上限8,330円未満だし)」

といった単純なお話しではないですよということです。

前年度1年間、全従業員の給与も関係してくるので、もっと低い金額になることもあり、
また社会保険労務士への成功報酬を支払うとさらに少なくなります。
(あくまでも会社ごとのケースによりますが……)

まずは社会保険労務士へ相談

様々なニュースで取り上げられるわりに、非常にわかりにくく、慣れていないとなかなか理解しにくい部分が多々あります。

「雇用調整助成金」の申請(計画届)の提出期間は、特例で「2020年6月30日まで」「事後提出でもOK」と通常より期間が広くとられています。

一見、猶予はあるように見えますが、まずは専門的な知識をお持ちの社会保険労務士にご相談されたほうがよいかと思います。もらえる助成金の金額を算定してもらい、「休業手当」を60%支給するのか、80%、全額なのかも相談されるのがベストではないでしょうか。

次回も新型コロナウイルスに関連したお話しをしたいと思います。

※ 本内容は、2020年4月8日に作成したものであり、私が社労士・関係機関へ問い合わせし、記事にしたものです。内容について、法令変更や社労士によって見解の違いなどある場合もございますのでご了承ください。

【参考】

※ 「雇用調整助成金」ガイドブック
※  時間外労働の上限規制 わかりやすい解説- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

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