こんにちは、市役所勤務の訪問美容師 大坪亜紀子です。
先日行った訪問美容で、大きな「気づき」を得ることができました。今回は、その気づきを多くの方と共有できればと思います。
美容室の役割
少し前置き。
私が知っている限り、髪を切りに行くことは楽しみ! と感じる1つ。……と、当たり前のように思っていたのですが、そうではない人もいることに気づきました。恥ずかしながら今さら。というか、楽しみ! と感じてくれる人しか出会ってなかった。
いや少し違う。髪は切りたいんだけど美容室が嫌いという人がいて、そういった人の話を聞いたことがなかった。お客様が来てくれる美容室にいたから、本当の美容室嫌いという方を知ることがなかったのだと思います。
もちろん1番は、この人に切ってほしいと思ってもらえる美容師でいることが大切だけど、だからこそ「美容室が楽しみ」の気持ちは裏切れないから、美容室という空間づくりや迎える準備も含めてやっぱり大切だなと改めて感じました。
嫌いのきっかけ
学校休校が続き、予約制限がある中で家族連れで美容室に行くことが難しい今。そういった理由もあり、訪問で髪を切らせてくれた4人兄弟の1人、こたろう君。
https://www.instagram.com/p/CAOfhujnywP/
その夜に、LINEでいただいたくーちゃんママの言葉もそのまま拝借。
「訪問美容って、オシャレは求めちゃいけないんだろうなーってイメージあったの。でも今日つぼちゃんにカットしてもらって、自分の希望言っていいんだ!障害があってもオシャレな髪形できるんだ!って嬉しくなっちゃった。今まで こたろーは床屋だったけど、床屋さんはこたろーのこと思って機嫌が悪くならないように、とにかく早く切る。こたろーが苦手な部分は触らないって感じだったから一番早く終わる1mm坊主。
小さい時はそれで良かったけど、大きくなるにつれ身だしなみも世間から求められるようになるよね。実際、障がい者雇用では身だしなみも大切らしい。だからつぼちゃんの仕事どんどん広げてほしい!」
美容師の役割
訪問美容の経験を重ねていくと、本人だけではないその家族からのうれしい言葉も多くいただきます。そして今回、ママが喜ぶ姿を見て、このLINEをもらって感じたこと。
もちろん居心地の良いお家で髪を切ることが安心できる1つだったと思うけど、多分こたろう君は髪を切ることが嫌いなんじゃなくて、床屋へ行くことでママがモヤモヤした気持ちになることが嫌だったんじゃないかな。髪を切って楽しんでいる兄弟と喜んでいる家族がいたから終始ご機嫌だったんじゃないかなと。
もちろんここにも訪問美容の可能性を感じるけど、ただこのことに関しては、想いのある美容師さんなら美容室でも環境づくりや関係づくりを工夫して取り組んでいることだと思います。この先が訪問美容師である私の役割だと感じたこと。
【社会へ飛び出すきっかけをつくり、背中を押すことができるのではないかということ】です。
今回私も嬉しかった訪問美容だけど、障がいをもつこたろう君のことを考えたら、この先ずっと訪問で髪を切ることが正しいことではない気がします。髪を切ることで家族が喜ぶことはもう感じていると思うから、もう少し大人になるまでには自分のために髪を切る大切さに気付いてもらいたい。
そして、訪問でこたろう君の髪を切り続ける限り、似合ってカッコいい髪型にする必要性と重要さを伝え、美容室に行きたくなるような言葉も伝え、自分の意思で美容室や床屋へ行きたいと思ってもらいたい。そうすることで、社会へ出るきっかけをつくりたい。
その夜、くーちゃんママからいただいた手作りのもつ煮をおつまみに飲みながらそんなことを考える。訪問美容でのこの関係性も嬉しいけど自分の新たな役割、可能性がまた見えてきました。
益々、楽しくなってきたー!
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