寺村さんの「リーダーシップ論」
編集部
以前のツイートで拝見しましたが、寺村さんの思う「リーダーシップ論」にとても興味があります。サロンでいうとリーダーは、オーナーや店長になるわけですが、どういうリーダーが成功するのか等、寺村さんの知見を活かしたお話をお聞かせください。
寺村さん
「判断力」「決断力」「行動力」、この繰り返しだと思いますね。ティール型組織とかホクラシー型組織があっても、なんだかんだ重要なことを決めるのは会社のトップになるわけででトップダウンにはなってしまうと思うんです。それがすべてではなかったとしても。だからこそ、イレギュラーが起きたとき、決断をするのはリーダー。
そこで決断力がにぶってしまうと、ことは後手に回りますよね。あとは、人の時間を奪っているという認識をどれだけもっているか。資源はお金だけでなく、時間もそうだとぼくは思います。組織のトップに立つ、リードする以上、働いている人の時間、人生をいただいているというところは忘れてはいけないなと考えます。
そして、意味のないことをやらされていても本人たちのモチベーションは上がらない。けれどそれが指示だったとしても、結果が出たら面白いと思うんですよ。ですから、そこの持っていき方というのはリーダーの裁量かなと。
そこをいかにうまく回せるかが、リーダーとしての成功の鍵になるのではと思います。
新型コロナウィルスによる美容業界の異変
編集部
寺村さんが懸念されていた不況が、新型コロナウィルスの出現によりリアルさを増してきました。今後、美容業界でどんなことが起こりうるのでしょうか?
寺村さん
今たくさんの美容室が大変なときですよね。今まで美容にかけるお金があったとしても、この不況で衣食住が優先されたときに、真っ先に削られるものにも美容って入ってくると思うんです。特に、都心部であるほど人に会う回数が多いから美容室に行く頻度が高かった。
しかし、外出自粛でテレワークが盛んになっている今、もともと髪を染めていた人の髪の根元が黒くプリン状態になっても、人に会う頻度が減るわけですから、あまり必要性はなくなりますよね。
メイクの必要性も下がるんじゃないんじゃないですか? WEB会議ツールもフィルターとかかけられるようになったりとか。そうするとコスメも売上が下がりますよね。
美容師でいうと、売上は減ると思うので、高歩合のところに人材が流れることも予想されますね。だからこそ、銀行からも借入ができる力のあるサロンが一気に失業する美容師を確保しにいくと思います。人をとりにいくというか、勝手に雇用の大きな流れが発生するかと。
ただ、それが一時的に各々の生活を保つためでもいいと思うんです。もともと在籍していた会社で、経営者とスタッフの信頼関係があれば、仮にこの不況で乗り越えられず解散する美容室でも、いずれまたその経営者やその関係者が再び事業を起こすときに、再集結とかできたら最高ですよね。
でも今回の影響って、美容室にとどまらず、美容学校も美容学生も大変なときですよね。だって、休校措置がとられて授業できていない、すると親御さんからは授業料返して欲しいといわれるかもしれませんよね。その数が圧倒的多数になると、学校運営もなかなか難しいのでは。このままの美容業界の状況が悪化すると、最悪美容学校に進学するという生徒も少なくなるのではないのでしょうか。
業界内外から注目されるVR事業
編集部
美容業界誌「BOB」の特集記事拝見しました。今後展開されるVR事業についてお話をうかがいたいのですが、どういう思いでこのVR事業をやろうと決意されたのでしょうか?
寺村さん
ぼくなりに分析した結果、自分事にできる人とできない人といいますか。カリキュラムが全部できたらスタイリストになれるのか、サロンによって定められた期間、例えば1年後になったらデビューできるのか。
その目標が明確になっていると自分事になるけど、そこが明確でないと自分事になりにくいんですよね。例えば、美容師の国家試験とかもそうです。国家試験に落ちるわけにいかないから集中して勉強をする。
今までだと、サロンで先輩に練習を見てもらうというとき、教わる自分、そして、教えてもらう先輩が存在して、そこには時間がかかるわけです。教えてもらっても1回でわからなければ、2回3回と聞きたくても先輩もそこに割ける時間がなかったり。
そして、なんでわかんないの?って言われても、何がわかってないことすらわかっていなかったりとか。そこにVRを導入することによって、教育する側の教育コストの削減、そして教わる側の時間も有効活用できる、つまりwin-winの状態ができるなと。
学習速度の早い遅いのムラはつきものですから、そこの関わり方でアシスタント(教わる側)のモチベーションをさげてしまい、今までは離脱していくことが多かったと思うんです。
しかし、まずはVRで自己学習をする。そしてその成果を先輩に見てもらうというルーティンを作ることで、圧倒的短期間で技術習得することが我々の検証でわかりました。