HRM(ヒューマン リソース マネジメント)の庄野です。
3回目の今回は、「事業設計」の重要性についてお話していきます。
(例題 CASE1は前回の記事をご参考下さい)
前回は、「仕組みの本質」についてでした。様々な「仕組み」を上手に組み合わせるには「一貫性」が必要となります。
1つ1つの部分的な最適を考えるのではなく、組織全体をパズルと捉えて、それぞれのピースが正しくはまるかどうかの全体最適を考えること。
それが一貫性というお話でした。(詳しくは第2回の記事をご参考下さい)
仕組みに一貫性を持たせるには、「事業の設計」全ての物事の考え方への基盤となるものが必要です。
今日はその考え方についてお話しします。
お客様は誰なのか?
事業においてお客様は誰なのか。「顧客を決める」ということは、最も重要であり事業の設計における中心です。美容室もサービス業の1つです。ですから必要な事は、「顧客のニーズを叶える」こと、そして、顧客のニーズはそれぞれ違います。
ファストフード店を訪れるお客様のニーズは、スピード感のある提供、金額的な安さ、24時間営業などが多いのではないでしょうか。
対して、高級なレストランを訪れるお客様のニーズは、予約制で待たずに入れる、ゆったりとした時間が過ごせる空間とサービス、金額に見合った素材の調理などがニーズかもしれませんね。
ですから、ファストフード店に座り心地の良い高級な椅子と、素敵なアンティークのテーブルがなくとも誰もクレームをいうことはないと思います。
逆に、高級レストランで簡素なテーブルと背もたれもない丸椅子に案内されれば、お客様はがっかりしてしまうでしょう。
どちらも「食事をする」ということが目的ですが、実際はお店を利用されるお客様が、食事の際に何を求め、何を楽しみにし、何にお金を払うのか? という「顧客としてのニーズ」が多く含まれて成り立っています。
つまり、美容室においても「髪を切る」ことは共通の目的であっても、その際に求められる様々な要素は、自分たちがサービスを提供するべき「お客様が誰なのか」を決めなければ、自分たちの仕事の仕方や、サービスの提供の仕方なども決まらないということです。
これを「顧客の定義」と考えます。全てのお客様を幸せにしたいと考えることは、とても素敵だし、皆そう考えるでしょう。
しかしそれは同時に、全てに対応しようとすることで事業への人、物、金のエネルギーが分散し、様々な価値観の違いから対立や、離職など社内の問題にも大きく影響を与えます。
自分たちの美容室の「顧客の定義」は、会社の方向性や事業の設計において第1に決めることと言ってもよいほど重要になります。
第2回でお話した「一貫性」を作るにはまずこの「事業設計」特に「顧客の定義」が必要になるのです。
今回のCASEのまとめ
① スタイリストの伸び悩みが起きている
② 問題を本人の資質で見るのでなく サロンの構造に問題点がないのか?の「視点」で考える
③ 求人、教育、集客、営業それぞれ「仕組みの一貫性」に不具合が起きていないのか?を考える
④ そもそもの「事業の設計」における「顧客の定義」自体を明確にすることが一番重要、そこから見直してみましょう!
このように、①〜④の順序で、分析→アドバイスをおこなうことが私のコンサルタントの仕方の1つの手法になります。
経営チームの運営における経営の原理・原則を学ぶということは、小学生が九九を覚えていくように、正しく学べば誰にでも活用できることです。
マネジメントの仕事は、それまで成果を上げてきたことで培われた能力(スタイリストとしての能力)とは全くの別分野の能力が求められます。
ですからマネジメントの原則も幹部の方々には必要な学びとなります。
しかし、ほとんどの店長さんや、幹部の方々は 後輩の方の指導やサロンワークなどで、自分のマネジメントスキルUPの時間を捻出できないですよね。
そんな皆さんへの情報提供となるようにこれからも組織構築〜マネジメントを中心に記事を配信していけたらと考えていますのでご期待ください!
次回からは、いよいよ本格的に「美容室に適した事業の設計」を細かく考えていきたいと思います。